後継者になりたい!後継者不足の今、社長になるメリットとは

公開日 : 2021-04-22

終身雇用の限界が語られ、先が見えない現代。大企業でも一生安泰とは言い切れない今、自分で事業の将来性やニーズを見極める力は、ビジネスマンとして生き抜く力に値するのではないでしょうか。

キャリアをサラリーマンだけに終わらせず、中小企業社長の後継者になる道を視野に入れると、生き方の選択肢が一気に広がります。

本記事では、後継者という選択のメリット、日本企業が抱える課題など、社長を目指す方にぜひとも知っていただきたい知識を解説します。

中小企業の後継者不足の現状

後継者になる方法がいくつかあるといっても、実際になるのは狭き門なのではないか?と不安を抱く方も多いかもしれません。しかし、実は事業の後継者は引く手あまたです。

事業承継を取り巻く日本企業の状況は厳しいですが、言い換えると後継者になるチャンスが多い環境でもあります。

40代の経営者は70代の約半分

中小企業庁によると、全国の中小企業数は約358万ほどです。そのうち社長の年齢が70代以上の割合は28.1%で、40代(15.3%)の2倍近くになっています。60代も30.3%と高く、60代以上が全体の約6割を占める状況です。

また、休業または廃業した時点での代表者(社長)の年齢層は、70代が39.1%、80代以上が16.9%となっています。中小企業にとっては、社長が70代に差し掛かるまでに事業承継の見通しを立てられるかどうかが、会社存続のカギになるようです。

引用:中小企業庁「2020年版 小規模企業白書」第1部 令和元年度(2019年度)の小規模事業者の動向

日本企業全体の3分の1が後継者不在に

実際、中小企業庁長官は「今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人(日本企業全体の1/3)が後継者未定」との見通しを示しており、今後の雇用減少や経済の衰退に強い危機感を示しています(平成30年年頭所感)。


2020年データでは、年代別の後継者不在の割合は、60代で49.5%、70代で39.9%、80代で31.8%となっています。後継者探しが長引くと、ただでさえ時間を要する事業承継が先延ばしになってしまい、高齢の経営者にとっては年々負担が大きくなってしまいます。企業が、後継者がいないからと事業存続を諦める前に、経営者候補を目指し手を挙げてくれる人材は歓迎されるのではないでしょうか。


現役世代への事業承継は、国も強く後押ししています。経済産業省は2020年からの10年間で、集中的に黒字廃業の可能性がある60万の企業を第三者承継を支援する「第三者承継支援総合パッケージ」を策定しました。事業の売却を促すためのルール整備や無料相談体制の強化、企業と経営者候補のマッチングや、事業承継に伴うコスト削減を包括的に進めるとしています。中小企業の事業承継は今後ますます追い風に乗るでしょう。

コロナ禍で休廃業が加速

日本の企業数は年々減少していますが、2020年は新型コロナウイルスの影響で休廃業が急速に増え、4万9,698件に及んでいます。これは前年比14%増で、2016年から約4万件を推移していたことからも、コロナ禍の影響が大きいことがわかります。

なお、休廃業のうち84%は、社長が60代以上の企業です。経営者の高齢化、後継者不在の課題にコロナ禍がのしかかる昨今、後継者を目指す人材や企業とのマッチングはますます需要が高まりそうです。

引用:中小企業庁「2020年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 令和2年4月」

後継者になることのメリットとは

経営者になるには自分で事業を推し進め、従業員を守る覚悟が必要ですが、リスクばかり降りかかってくるわけではありません。後継者ならではのメリットも確かに存在します。

事業の土台ができている

起業と異なり、すでに会社として歩んできたところに入るため、軸となるビジネスモデルや生産手法は確立されています。ゼロから作り上げるのではなく、改善や発展から事業を進めることができるのは、経営をスタートさせるにあたって大きなメリットです。


また、2020年版中小企業白書・小規模企業白書概要によれば、休廃業する約4万の企業のうち、6割は「黒字企業」にもかかわらず廃業を決めています。休廃業の主な理由は高齢化や後継者不在であり、「中小企業の貴重な経営資源を意欲ある次世代に引き継ぐことが重要」との見解が示されています。


自分で事業を始める場合、法人設立の各種手続きに加え、資金調達の壁が立ちはだかります。ベンチャーキャピタルからの投資や、金融機関からの融資を取り付ける労力、審査を通過するだけの材料をそろえるのはやはり負担がかかります。特に子どもの学費が必要な時期に差し掛かっているなど、収入を不安定にするわけにはいかない時にはプレッシャーとなります。既存の財産や取引先がある事業、特に黒字企業は、後継者を目指す方にとってこれ以上ない「優良企業」だといえるでしょう。

経営を引退する時に売却益を得られる可能性がある

将来的に経営を引退するときに、従業員としての退職とは異なり、会社の株式や資産を売却することができます。売却益は会社の資産価値、将来のキャッシュフローや営業権を合わせて経常利益の数年分になるといわれています。いざという時の対処として、あるいは経営判断として必要な場面が出てくるかもしれません。


会社を自分がいつまで経営を担うのか、どのように会社を存続させるのか主体的に考えられるのは、プレッシャーが伴うものの事業に取り組む醍醐味でもあります。

ビジネスを動かすという「キャリア」を築くことができる


現代は終身雇用制度の崩壊が叫ばれ、キャリアや働き方が多様化しています。一企業で勤続していても、多くの場合は定年の数年前に「役職定年」を迎え、管理職から一般職へ戻り年収が下がってしまいます。また、電通やタニタといった大企業が、多用な働き方を実現するため一部の社員と業務委託契約を結ぶ「社員の個人事業主化」を打ち出し話題となりました。定年まで会社員であり続けるキャリアは、かつてのような絶対的な道すじではなくなってきています。


そんな中、自ら事業をけん引し、消費者のニーズに応えていくことは、“正解”がわからない時代にあって本質的な強みとなります。現役を退くまでの間に誰かに経営を託したとしても、経営者としてのキャリアはその後も役立つはずです。

そもそも後継者とは? 事業を受け継ぐ方法

後継者とは、すでに経営されている事業を引き継ぎ、会社の代表となる立場の人をいいます。つまり「社長になる」ということですが、既存の事業を経営するのが、自分で新たにビジネスを始める起業との最大の違いです。


社外取締役とも異なり当事者として事業を経営するため、これまで培ってきた経営やマネジメントのノウハウを実践に移したい方にとって非常にやりがいのある選択といえるでしょう。

後継者と継承者の違い

後継者と似ている単語に「継承者」があります。後継者はそれまでの経営者(社長)の理念や事業ミッションを含めて受け継ぐ”人”を指すのに対し、継承者は財産や権利などを受け継ぐ”企業”を指します。


企業間の買収では、買収された企業の精神などは受け継がれず、製造ラインや既存顧客といった「財産」を生かしつつ、買収側の組織の一部となっていくのが通常です。

事業の継ぎ方①経営者候補の従業員として入社

経営参画を前提に幹部候補として入社し、従業員として事業を受け継ぐ方法です。親族外承継や第三者承継と呼ばれるもので、働きながら会社の良い点、改善点を熟知し、時間をかけて経営者としての信頼を確立していきます。


社長の子どもが次期社長となる親族内承継に比べ、客観的に経営手腕を評価され就任した印象が強くなります。実際に他の企業経験を経て入社するため、先入観なく課題やムダを見つけられる可能性が高いでしょう。同時に、経営にあたって先輩である従業員たちを尊重することも不可欠です。


難易度が高くなる背景としては、株式の総額が高額だったり、社長が連帯保証人となっている借入金があったりすることが考えられます。親族内承継のように相続はできないため、貯金をしていても個人には資金のハードルが高いことがあります。

事業の継ぎ方②雇われ社長として就任

株式の大半を有し会社の所有権を持つオーナーに雇用され、いわゆる雇われ社長として経営の実務に就く方法です。関係性としては、経営の実務を担う社長の上に、名誉会長がいる企業を想像すると分かりやすいのではないでしょうか。これに対し、会社の所有者と経営者が一致している場合はオーナー社長といわれます。


株主でありつつ経営を自ら行うオーナー社長は、誰に制限されることなくスピーディーな意思決定が行えますが、資金面でのリスクも負わなければなりません。一方、オーナーに雇用される雇われ社長は、業績が悪化したときもオーナーほどのリスクにはさらされません。自己資金を投じて事業を始める必要もなく、経済的負担はそこまで甚大ではありません。


ただし、あくまで雇われている立場のため、最終的な意思決定はオーナーにゆだねられます。経営方針が一致していれば問題ありませんが、考え方の食い違いが衝突につながることもあり、オーナーの権限が強いままでは裁量を発揮しにくいのも事実です。経営会議に参加させてもらい、徐々に株式を購入する意思を伝えるなど、将来的にはすべての責任を持つ覚悟で臨むと良いでしょう。

事業の継ぎ方③個人M&Aで買収

まとまった資金を用意できるなら、個人M&Aで会社を買い取り、オーナー社長に就任する方法もあります。小規模な飲食店や個人医院など、事業のスケールがコンパクトであれば、500万円前後で買収できることがあります。


この方法では、自身で経営方針を決められるといったオーナー社長のメリットと、資金面のリスクを負うデメリットを表裏一体で享受することになります。後継者として会社の伝統や強みを生かしながら、改善にもスピーディーに取り組むことができるのが、大きなやりがいになります。

気を付けたいのは、経営の健全性や、事業の継続性を見極めなければならない点です。会社を売却したいということは、経営者が手放したいだけのリスクを抱えている可能性があります。自分でも買えるからと安易に買収企業を選んでしまうと、難点を見落としてしまうかもしれません。従業員が元経営者について辞めてしまうこともあるため、不安を与えないコミュニケーションも大切です。

社長になるなら想定しておきたいリスク

このように、中小企業の後継者になるメリットや醍醐味はいくつもあります。一方、コロナ禍の影響なども重なり、先回りでリスクへ備えられることも、経営者として重要な素質です。社長になるにあたっての代表的な注意点をまとめます。

業績悪化、景気後退に備え貯蓄を

株式を買い取る場合はもちろんのこと、雇われ社長であっても事業の責任を負うことになるため、業績悪化に備えた貯蓄は不可欠です。経済的なひっ迫感は、経営判断に良い影響をもたらすとは考えにくく、適切な決断の足枷になってしまう懸念もあります。


収入の変動があっても経営者として余裕を持って構えられるよう、数年の生活は困らない貯蓄をしておくのが理想的です。引っ越しや子どもの進学を控えているのであれば、事業承継や社長就任に支障ないタイミングを検討しましょう。

職種によっては修業期間がある可能性あり

経営者を目指すなら経験のある業種を目指すのが定石です。それでも企業規模の違いで未経験の実務がある可能性もありますし、その企業独自の文化は入ってみるまでわかりません。


そのため、いきなり社長に就任するのではなく、従業員として各部署の仕事や工程を学んでから、経営に関わる流れになる場合があります。そもそも事業承継にはじっくり時間を費やす必要がありますので、すぐに経営や改善に着手できなくても焦らずに、謙虚に学ぶ姿勢が求められます。

後継者買い手市場が到来する今が“チャンス”

今後、日本企業の3分の1にあたる127万人の経営者が、後継者不在問題に直面するといわれ、黒字ながらも後継者がいないために廃業する企業も多く存在しています。


つまり、国内には数多くの後継者を必要とする企業が眠っており、「廃業危機」は「後継者需要」を意味するといっていいでしょう。後継者探しに悩む社長が多い買い手市場のいま、自ら行動を起こす経営者候補は、非常に重宝される人材です。


昨今はかつてのような日本型雇用が崩れつつあり、成果主義の導入や、社内起業など働き方が多様化し、中小企業への支援も充実しています。変化に柔軟に対応できるミドル世代に事業を続けてほしい企業を探してみませんか?


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